月別アーカイブ: 2013年7月

石巻市W邸:家具、建具も「つくる」

2013.07.31 石巻:晴れ。

みなさん、こんにちは。
一級建築士事務所デザインスペックの小林です。

今日はちょっと違った切り口からブログを書いてみます。

世の中にはあらゆる職種があります。
建築工事と一口に言っても、大工、家具屋、建具屋、板金屋、設備屋、防水屋、電気屋など、様々な職種の人間が関わります。
それぞれの世界には職域というものもあり、それがプロであるか否かの境界線にもなっています。

ですが、それはあくまで形式上のことであって、必ずしも、その境界線を「越境してはいけない」わけではありません。

かなり大げさな例えではありますが、中世ヨーロッパのアルベルティなどは、人文主義者であり、建築理論家であり、建築家でもありました。
それだけでなく、法学、古典学、数学、演劇、詩作などにも優れた能力を発揮し、さらに絵画、彫刻でも実作および理論家としても活躍しておりました。
音楽や運動競技でも秀でており、もはや専門領域という概念を持ち出すことがバカバカしいぐらいの「万能人」であります。

もちろん、人類がみなアルベルティになれるわけでもなく、自分もまたこのようなたいそうな偉人と比べるなど、おこがましいにもほどがあるのですが、
それでも、先に述べたような「境界線」を越えるか否かの判断が、現代社会ではあまりにも細分化されているように思えます。

アルベルティほどではなくても、住宅ひとつ建てるぐらいの越境は、実は大したことではないのではないでしょうか。

もちろん、そこには「責任」「保証」といった現代社会的な概念が常につきまとうので、その部分を無視するわけにはいかないですが、逆を言えば、そこさえクリアしてしまえば、自由なはずです。

今回の現場では、ここまでのブログでもお気づきのように、建築士である私自身が、施工も行っております。
今風に言えば「セルフビルド」です。自宅ではないですが(笑)

そして、家具工事、建具工事も大工工事で行っております。
後ほどブログアップする予定の塗装工事も、私が施工しています。

つまり、みんな「手作り」というわけです。

もちろん、お施主さんには了承済みの上での施工なので、上記の「責任」「保証」といったハードルはクリアできています。

アルベルティから比べれば、ほんとに小っちゃな越境ですが、現代の感覚で「家を建てる」という発想からはなかなか出てこないでしょう。
リノベーションとかでは最近見かけるようにはなりましたが。

「素人が施工して大丈夫なの?」
というのが率直なご意見かと思います。

でも、手作りである以上、既製品のような「規格」は存在しないのです。ですから、少々乱暴な言い方をすれば、施工の合否チェックをする判断基準が存在しない。
多少の粗があったとしても、全体で機能して、完結していれば、それで問題はないはずなんです。
かといって、杜撰な施工をするというわけではありませんよ。
しっくいも塗装も建具も家具もそうですが、施工技術として、ある程度の水準は満たした上での話です。

つまり、丹精込めて手作りしたものが立派な完成品となるわけです。
手仕事ゆえのズレや歪みが、味になり、風合いになる。

この贅沢な感覚を、お金を掛けることなく、身の丈の手法を使って、もう一度建築業界に取り戻したかった。
だから、手作りにこだわりました。

そんな想いでの「つくる」なんです。

2013.06.04WTN手作り
2013.06.04 吹き抜け部分の手摺。材料は、余った間柱と端柄材を利用しています。大工さんに加工してもらいました。

2013.06.04WTN手作り
2013.06.04 子供室の家具。大工工事で「つくれる」家具を作りました。

2013.06.11WTN手作り
2013.06.11 主寝室の収納家具。家具工事のようなハコ組ではなく、大工工事で下地を組んでつくっています。建具ももちろん、手作り。

2013.06.14WTN手作り
2013.06.14 収納建具。ラワンランバーというベニヤで心材を挟んだ素材を切り出してつくっています。

2013.06.26WTN手作り
2013.06.26 セパレートキッチンのコンロ側。収納家具同様に、下地を組んでつくっています。こんなキッチンは前代未聞ですね。

2013.07.01WTN手作り
2013.07.01 セパレートキッチンのシンク側。抽斗から何から、全部大工さんの手作り。

2013.07.27WTN手作り
2013.07.27 既製品を買ってきて高さ調整した方が手軽なハシゴだって、つくっちゃいます。

2013.07.29WTN手作り
2013.07.29 縁側。これも昨今は既製品でも色々出回っていますが、こんなにながーい縁側はつくるしかない。

2013.07.31WTN手作り
2013.07.31 玄関ホールにある小さい和室の間仕切り建具。ラワンランバーを利用して、つくりました。手掛けの形状だって、自由です。

ひたちなか市K邸:完成。

2013.07.10 ひたちなか市:晴れ。

みなさん、こんばんは。
一級建築士事務所デザインスペックの小林です。

本日は、ひたちなか市K邸の完了検査でした。
検査は滞りなく完了し、後日引き渡し。

この物件は、お施主様の都合により、外観および一部の内観写真のみとなります。
少々わかりにくいかもしれませんが、空間コンセプトだけは伝わるようにしてみました。

2013.7.10 KMN完成。
外観正面。
1階が建物の建築面積の3/4を占める、大きなピロティですが、壁で覆うことなく、開放性を確保するために、
最小限の耐力壁をもっとも効率よく配置しています。
一方、2階部分のこの面には開口部を設けずに、すべて耐力壁としています。
この壁の配置によって、後ほど出てくる、一続きの大空間を可能にしています。
また、方位としては、こちらが西側となるため、西日をシャットアウトすることで、室内の温熱環境を向上させています。

2013.7.10 KMN完成。
外観全景。
南西側から見たところ。
写真にはありませんが、南北に同じ配列で、写真のような縦長の開口部が連続しています。
この開口部は「滑り出し窓」と言って、窓が開き戸のように縦軸によって開閉します。
これにより、効率的に室内の換気を行うとともに、南側の直接採光と北側の間接採光を確保しています。

2013.7.10 KMN完成。
2階内観。
2階はこのようにLDKと個室が2つ並んでいるのですが、建具を外せば、大きなワンルームになります。
リフォームすることなく、ライフスタイルの変化に合わせて、空間が柔軟に対応できるような空間構成です。

2013.7.10 KMN完成。
2階内観。
角度を振って、一番西側の個室から全体を眺めたところです。
このように、各室の南北採光の他に、一番東側のLDKからの採光が一番西側まで届くのがわかると思います。

また、写真ではお見せできませんが、各室を建具で仕切った場合でも、南北の開口部による採光・通風は確保でき、
個室としてもワンルームとしても機能できる空間構成となっているのが、このプランの特徴です。

郊外の物件では珍しい狭小住宅でしたが、都心での設計で培った設計スキルがいい形で応用できた物件でした。
紋切り型に個室を確保していくプランニングでは、狭い面積を有効活用することは非常に困難ですが、このような解決方法もあるということを、郊外の物件で提示できたのは、今後の設計依頼にも活かされると思います。

石巻市W邸:ラワンベニヤ、侮る無かれ。

2013.07.02 石巻:晴れ。

みなさん、こんにちは。
一級建築士事務所デザインスペックの小林です。

前回のブログではしっくいの施工経過をお伝えしました。
今回は、その合間に進んでいた、内部造作工事の様子をお伝えします。

内部造作と一口に言っても、しっくい壁の下地となる石膏ボード貼り、板壁の下地となるベニヤ貼り、床と壁、壁と天井との見切りとなる巾木、廻り縁の施工など実に様々です。
全部をご紹介しているといつまでたってもW邸ブログが終わりませんので、今回の物件の一番の目玉となる「ラワンベニヤによる板壁の仕上げ」の施工状況を書こうと思います。

実は4月5日付けのブログでもちょこっと触れているので「こちら」を参照してもらいたいのですが、いわゆる下地で使うようなベニヤ板を、今回は仕上げで使おうという魂胆なのです。

実際にどんな感じになっていくのかは、施工写真の方が分かり安いので、御託を並べずに写真を並べていきますw

2013.05.14WTNラワン
2013.05.14 主寝室の壁。ラワンベニヤを短冊状に割いた材料を縦にランダムに貼っていきます。赤味のある部分と白味の強い部分とがバランス良く配置されると、ベニヤとは思えないような趣のある壁ができあがるはずです。

2013.05.16WTNラワン
2013.05.16 主寝室の壁。こんな感じになります。まだ素地ですが、なかなか良い雰囲気だしてると思いませんか?塗装で仕上げるのが楽しみ。

2013.05.24WTNラワン
2013.05.24 リビング吹き抜け部分の壁。ここは最初は両サイドが板貼りで正面はしっくいだったのですが、現場で変更しました。

2013.05.26WTNラワン
2013.05.26 子供室の壁。しっくいや露しの梁とのバランスもいい感じです。

2013.05.26WTNラワン
2013.05.26 階段部分の壁。

2013.06.04WTNラワン
2013.06.04 リビング収納棚の壁。両サイドはしっくいの壁になるのですが、正面の壁は、リビングの吹き抜けとテイストを合わせた板壁になります。

2013.06.22WTNラワン
2013.06.22 板壁施工の最後は玄関ホールの壁になります。この板壁は階段部分の壁と連続しています。

2013.06.23WTNラワン
2013.06.23 玄関ホールの壁ができました。

いかがでしょうか?
ただベニヤ板を細かく割いたものでも、使い方次第で、こんな風になるんです。
塗装で仕上げると、またさらに変わりますよ。

石巻市W邸:しっくい、しっくい、しっくい。

2013.07.02 石巻市:晴れ。

みなさん、こんにちは。
一級建築士事務所デザインスペックの小林です。

しばらく職人をしていたのと、その後の激務に追われて、5月から完全にブログやHPの更新を放置していましたm(__)m

ようやく少し落ち着いたので、再開します。

さて。
5月の連休明けから始まった、W邸のしっくい工事。
飛び飛びでの出張施工のため、ずいぶんと時間がかかってしまいましたが、7月2日に全工程が終了しました。
(こうやって文章で書くと、随分とあっけなく感じますが、実際には、気の遠くなるような2ヶ月間でした。。。)

というわけで、しっくい施工の様子をダイジェストでお送りします。
(2ヶ月の苦労を知って欲しくて、写真しこたまUPしますw)
その合間に、木工事も進んでいますが、それはまた後日。

2013.05.14WTNしっくい
2013.05.14 子供室の天井下塗り。

2013.05.14WTNしっくい
2013.05.14 主寝室の天井下処理。

2013.05.16WTNしっくい
2013.05.16 和室の天井・壁下処理。

2013.05.24WTNしっくい
2013.05.24 和室の天井下塗り。

2013.05.26WTNしっくい
2013.05.26 和室の天井・壁仕上げ塗り。

2013.05.26WTNしっくい
2013.05.26 子供室の天井仕上げ塗り。

2013.05.28WTNしっくい
2013.05.28 トイレの天井・壁下塗り。

2013.05.28WTNしっくい
2013.05.28 主寝室の壁下処理。

2013.05.30WTNしっくい
2013.05.30 トイレの天井・壁仕上げ塗り。

2013.06.04tWTNしっくい
2013.06.04 洗面室の下塗り。

2013.06.05WTNしっくい
2013.06.05 主寝室の壁下塗り。

2013.06.06WTNしっくい
2013.06.06 主寝室の天井・壁仕上げ塗り。

2013.06.12WTNしっくい
2013.06.12 和室の天井・壁下塗り。

2013.06.14WTNしっくい
2013.06.14 キッチンの天井・壁仕上げ塗り。

2013.06.15WTNしっくい
2013.06.15 子供室の壁下塗り。

2013.06.22WTNしっくい
2013.06.22 リビングの天井・壁下処理。

2013.06.23WTNしっくい
2013.06.23 リビングの天井・壁下塗り。

2013.06.24WTNしっくい
2013.06.24 子供室の壁仕上げ塗り。

2013.06.25WTNしっくい
2013.06.25 リビングの天井・壁下塗り。

2013.06.26WTNしっくい
2013.06.26 玄関ホールの天井・壁下処理。

2013.06.26WTNしっくい
2013.06.26 リビングの天井・壁仕上げ塗り。

2013.06.27WTNしっくい
2013.06.27 玄関ホールにある、小さい和室の仕上げ塗り。

2013.06.29WTNしっくい
2013.06.29 玄関ホールの天井壁下塗り。

2013.07.01WTNしっくい
2013.07.01 玄関ホールの仕上げ塗り。

2013.07.02WTNしっくい
2013.07.02 リビング仕上げ完了。

2013.07.02WTNしっくい
2013.07.02 子供室仕上げ完了。

2013.07.02WTNしっくい
2013.07.02 主寝室仕上げ完了。

2013.07.02WTNしっくい
2013.07.02 玄関ホール仕上げ完了。